育児中の看護師がSNSを始める前に|患者・職場と家族の情報を分ける発信

看護師のSNSで経験と情報を分けて考える。指定の女性が投稿に使う題材を整理するイラスト 看護師・育児中
執筆:|AI動画クリエイター・講師

看護経験をSNSで生かすときは、経験から得た視点と、患者・勤務先を推測できる具体情報を分けます。

名前や顔を隠すだけで終わらせず、人物・日時・場所・制服・背景・文章を組み合わせて点検しましょう。家族の公開範囲も別に決め、使える素材から架空の設定を作れば、実在する患者の話を持ち込まずに企画を考えられます。

育児の合間に発信を始めたいけれど、「看護師としての経験を、どこまで話していいんだろう」と手が止まることはありませんか。

まずは投稿案を一つ用意して、残したいメッセージと、外す情報を分けてみてください。ここでは、その点検からAI動画の企画メモまでを順番に整理します。

看護経験から残すのは、患者の話ではなく伝えたい視点

看護の経験を生かすことと、現場で出会った人のエピソードを公開することは別です。患者さんの言葉、病状、家族とのやり取りを、そのまま投稿の材料にしないところから始めます。

日本看護協会は、仕事で知った秘密を守ることに加え、複数の情報をつなぎ合わせて個人が分かる場合にも注意を求めています。勤務先が推測できる状態での病状の記載や、写真への偶然の映り込みも確認の対象です。根拠は、日本看護協会「個人に関する情報と倫理」で確認できます(2026年10月13日確認)。

私は、助産師の経験を生かして、産後をテーマにした動画を企画しました。どんな場面に共感が生まれるかを、経験から考えた企画です。

これから題材を探すなら、「誰が、いつ、何をしたか」から離れて、見た人にどんな気持ちや視点を届けたいかを一文にしてみましょう。たとえば「忙しい毎日の中で、ひと息つくきっかけを届けたい」というところまで整理すれば、実在の患者さんを登場させる必要はありません。

実話の名前や年齢を変えて再現するのではなく、一般的なテーマから人物・場所・場面を新しく考えます。具体的な出来事が残るなら、その案は投稿に使わず、テーマ選びに戻りましょう。

名前を消したあとも、6つの手がかりを点検する

文章だけ、写真だけを別々に見ていると、組み合わせたときの情報量を見落としやすくなります。プロフィール、今回の投稿、過去の投稿を並べて確認してください。

人物・日時・場所・制服・背景・文章の6項目を、投稿とプロフィールで組み合わせて見る点検図
一つずつ隠すだけでなく、投稿全体の組み合わせを見直します。
確認箇所 手がかりと、直し方
人物 顔・声・名札・特徴的な持ち物を確認。実在する患者や同僚の素材は外し、公開に使える別素材へ差し替える。
日時 勤務日、入退院日、行事の時期が出来事と結び付かないか確認。日付だけずらして実話を残さず、具体的な経過ごと企画から外す。
場所 施設名、駅、窓からの景色、位置情報を確認。実際の職場を再現せず、特定の施設に結び付かない架空の場所にする。
制服 院名・ロゴ・部署表示や特徴的なデザインを確認。勤務先の制服の写真を使わず、必要なら職場と関係のない服装に変える。
背景 記録用紙、画面、掲示物、病室の表示を確認。細部を隠す作業に頼らず、その場で撮った写真や動画自体を外す。
文章 病状、家族構成、会話、珍しい出来事を確認。「知っている人なら気づく」具体性が残る場合は、一般的なテーマから書き直す。

上の表は、個人のSNS用に素材を選ぶための点検例です。項目を埋めたことだけで公開可とは決めず、勤務先の規程にも照合します。

たとえば、プロフィールに地域と診療科を書き、投稿に勤務日と珍しい出来事を書くと、それぞれは短い情報でもつながります。その人や職場を知っている人が読んでも、具体的な相手や出来事へ結び付かないかを見直すのがポイントです。

鍵付きアカウントや親しい人だけの共有でも、患者情報を載せてよい理由にはなりません。ICNの「看護師とソーシャルメディア」も、患者と家族の情報を投稿しないことや、匿名でも情報から特定される場合があることを示しています(2026年10月13日確認)。

家族の公開範囲は、仕事の情報と別に決める

患者・職場の情報を外したあとに、家族の情報も見直します。「自分が発信したいこと」と「家族が公開してよいと思う範囲」を同じにしないためです。

育児の話を扱うなら、家族と次の範囲を先に決めておくと、素材選びで迷いにくくなります。

  • 出さないもの:子どもの顔や名前、名札、園・学校が分かる服や持ち物。
  • 場所や生活:自宅の外観、通園経路、習い事の場所、その場にいると分かる投稿。
  • 文章の範囲:家族の体調や失敗、本人が知られたくない出来事をどこまで扱うか。

顔を隠した写真でも、背景や文章は残ります。家族用と仕事用でアカウントを分ける場合も、同じ写真、名前、地域の記載から結び付かないかを確認しましょう。

私は実写の顔を出さず、キャラクターを使って発信しています。自分や家族の写真を使わずに表現する方法を考えたいときは、こうしたキャラクターも選択肢になります。

ただし、キャラクターに置き換えても、文章に実在の患者さんや家族の具体的な出来事が残っていれば、情報の問題は残ります。画像と文章をセットで見直してください。

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一般的な視点を、架空のAI動画企画に変える

個人や職場の情報を使わずに伝えたいテーマが決まったら、人物・場所・動きを新しく組み立てます。最初から長い動画にせず、一つのメッセージと一つの動きで考えると、確認する箇所を絞れます。

私は制作で参考画像を使うときに、動きだけを参考にして、絵柄はまねしないよう指示したことがあります。何を参考にし、何を持ち込まないかを分ける考え方は、素材を整理するときにも役立ちます。

ここでは企画例として、「忙しい人に、ひと息つくきっかけを届ける」短い動物動画を考えてみます。実際の患者さんや出来事を再現する設定は入れません。

一般的な視点から架空の設定と動きを考える企画例。使うキャラクターの例としてコアラ制作の柴犬画像を配置
柴犬は私が制作した画像です。ここで示す動画の設定と動きは、これから作る企画例です。

6項目の企画メモにする

  1. 届けたい視点:忙しい一日の途中で、少しひと息つく。
  2. 登場人物:実在の人に似せない、架空の動物キャラクター。
  3. 場所:病院や自宅を再現しない、シンプルな架空の部屋。
  4. 動き:動物が手を振り、ゆっくり座る。字幕は「ちょっと、ひと休み」。
  5. 使わない素材:患者・家族・同僚の写真や声、記録、実際の会話、勤務先の写真。
  6. 確認先:素材と生成サービスの利用条件、勤務先のSNS規程。迷う項目は担当窓口へ。

このメモを自分のテーマに置き換えるときも、実際のエピソードを細かくAIへ説明してから加工する方法にはしません。AIへ渡す前に、公開に使える題材と素材だけに絞ることが大切です。

患者情報をAIに入れてから隠さない

患者さんの写真、診療情報、会話の記録を、個人のSNS制作のために生成AIへ入力しないようにします。「匿名の話に直して」と頼むための入力にも、元の情報を持ち込まないでください。

個人情報保護委員会は、生成AIの利用者に対し、入力する情報や利用規約、プライバシーポリシーを確認するよう注意喚起しています。入力内容の扱いは、個人情報保護委員会の注意喚起と、使うサービスの現在の条件を確認しましょう(同資料は2023年6月2日付、2026年10月13日確認)。

企画メモができたら、使える画像を選び、短い動きを付け、字幕を入れて完成物を見直します。実際の制作順は、初心者向けのAI動画の作り方で確認できます。

勤務先の規程と完成した投稿を、最後に照合する

個人情報の点検に加えて、勤務先のSNS・秘密保持・撮影・副業に関する規程を確認します。収益がまだない段階でも、職員のSNS利用や院内撮影についてのルールは先に見ておきたいところです。

規程の対象や確認手順が読み取れなければ、上司、人事、個人情報管理や広報の担当窓口へ、次の内容をまとめて相談します。

  • 個人のアカウントで、どんなテーマを発信するか。
  • 職種・勤務先名を表示するか。職場の素材を使うか。
  • 広告、案件、販売などの予定があるか。事前手続きは何か。

副業の可否や申請の順序は、看護師が副業前に確認する規程と手続きへ。画像・音声・キャラクターの権利は、AI動画の著作権と素材の確認点で別に整理できます。

投稿前には、動画を最後まで見て、字幕・音声・説明文・プロフィールを合わせて再点検します。確認が必要な項目が残っているなら、下書きのまま止め、素材の差し替えや担当窓口への確認に戻りましょう。

投稿後に患者情報などの問題に気づいた場合は、追加の共有を止め、勤務先の報告手順に従って速やかに担当窓口へ連絡してください。個人の判断で消して終わりにせず、その後の対応も確認します。

看護経験から生まれる観察や伝え方は、発信の題材を考える材料になります。まずは一つの投稿案から、患者・職場・家族の具体情報を外し、届けたい視点を残してみてください。使える素材と新しい設定で企画を作り、規程まで照合してから投稿へ進みましょう。

題材が決まったら、AI動画を作る手順へ

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この記事を書いた人

コアラ

AI動画クリエイター・講師

元助産師・看護師。縦型ショート動画の企画・構成から、AI画像づくり、動画化プロンプトまで一貫して制作しています。

Instagram・TikTokの総フォロワー約8.6万人(2026年9月時点)。AI動画講師としてテレビ番組に出演。


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